低温で一定期間貯蔵して熟成させた「熟成肉」がブームになっています。
熟成肉を使ったメニューを増やす飲食店や、熟成肉の専門店が全国各地に増えていますね。
お店に食べに行ったことがある人はたくさんいらっしゃるでしょう。
熟成肉は「乾燥熟成肉」とも言い、調理前の一定期間保管して食感や旨味に変化を付けます。
その方法は生の食肉の塊を、温度0~4℃湿度80%前後の乾燥熟成庫の中に保管します。
その期間は平均2~5週間で、熟成期間中に肉の中のたんぱく質が、分解されてアミノ酸に
変化することで旨味が増します。
長期間、生のまま冷凍もしていない状態で、お肉は腐らないのでしょうか?
また「熟成」と「腐る」は意味が違うのでしょうか?
今回は、熟成肉のあれこれをご紹介します。
目次
熟成肉をレアで食べても大丈夫!?美味しく食べるコツと注意点!
熟成肉ブームが広がってから専門レストランが街中に増え、ファミレスや牛丼チェーン
でも熟成肉を取り扱うようになりました。
アメリカでは、「ドライエイジング」という熟成方法を取る事が多いそうです。
それは最初に説明した熟成方法で、温度0~4℃湿度80%前後の貯蔵庫で、
数週間くらい保管する方法です。
湿度が高めに設定されていますが「ドライ」にするため、扇風機などで風をあてています。
この方法では、肉の表面は乾燥して固くなります。
そして表面が青かびに覆われます。
しかしこの方法では、外気に触れることが無く、青かびも人の身体に悪い影響を
与えないので安全と言われています。
熟成方法にはもう一つ「ウェットエイジング」と言う方法があり、これは真空パック
などの状態で、0~2℃の環境で1か月ほど保管して熟成させます。
日本のファミレスやチェーン店では、こちらの方法で熟成させています。
「熟成」と「腐る」にはたんぱく質の変化に違いがあるそうです。
「熟成」は肉の中に含まれた酵素によって肉の内部でたんぱく質が分解されます。
そして「腐る」は肉の表面に付着している菌によって、曽外側からたんぱく質が
分解されます。
熟成と腐るのは別物だと言われても、熟成肉のステーキをレアで食べてもいいのか
疑問に思う人はいます。
しかし過去に地方で起こった焼肉店の食中毒事件を機に、生食用牛肉の表面加熱基準が
義務付けられました。
それは肉の表面から、1cm以上の深さの部分を60℃で2分以上加熱することです。
この基準は、牛肉などの食中毒の原因になる菌は、60℃前後で加熱すると死滅する事
から定められました。
レアステーキの中身は、赤い色ですが生ではなく、肉の内部を余熱などで55~60℃まで
火を通したものです。
したがって表面加熱基準を満たしたレアステーキなら、安心して食べられます。
熟成肉で食あたり!?そうならないための注意点は?
熟成肉を食べて食あたりになると、食べてから2日~7日くらい経ってから下痢や嘔吐など
の食中毒症状を起こします。
病気に対する抵抗力が弱い子供や高齢者は、重症化することがあります。
原因の菌は牛の腸の中にいる「腸管出血性大腸菌」や、生の鶏肉や牛肉に付着している
ことがある「カンピロバクター」です。
熟成肉に限らず、肉料理の食中毒を引き起こす要因は、加熱が不十分な事です。
したがって食べる時には加熱してあるか確かめた方が安全です。
厚みのある熟成肉のステーキなら、中までしっかり火を通してもらう事がおすすめです。
管理が行き届いたお店なら大丈夫なのですが、ブームに乗って熟成に対する知識が
不十分なままお店を始めてしまっているかもしれません。
衛生管理などが信頼出来るお店で食べる事も、食あたりを防ぐ手段です。
まとめ
流行りの熟成肉について紹介しました。
牛肉の熟成方法は「ドライ」と「ウェット」の2種類あって、ドライは表面を青かびで
覆わせるブルーチーズのような熟成方法です。
そしてウェットは、真空パック内でゆっくり熟成を進ませる方法です。
生肉のまま、数週間も保管していると、腐るのではないかと心配になります。
しかし「腐る」と「熟成」はお肉のたんぱく質を分解させる成分に、違いがありました。
ステーキの中を60℃以上に加熱したら、熟成肉でも安心して食べられるそうですが、
熟成期間中に、青かび以外のカビや菌が付着していないとは言い切れません。
そして食あたりを起こすと重症化する可能性があります。
熟成肉を安心して食べるためには、よく加熱した物を食べましょう。